自立した女性の性と家庭教育ゼミ
GNPは世界最高水準に達し、識字率も極めて高い日本。女性の社会進出が叫ばれて久しいにも関わらず、2008年度版の『男女共同参画白書』によれば女性の政界や経済界への社会進出度は先進国レベルというよりも、発展途上国並の低い水準にとどまっています。いまだに日本は封建的な体質を残した男性中心の社会のままと言えるのかも知れません。
スウェーデン、ノルウェー、アイスランドといった北欧の先進諸国における、女性の社会進出度は、高い水準を保っています。日本が本当の意味で先進国と呼ばれるには、まだまだ男女の社会的地位のバランスが取れていないというのは事実なのです。男女共同参画とはいっても、男性社会の日本における「女性の進出」は「女性専用車両」を作る程度にとどまっています。
男性社会で女性が武器を獲得するために
「早く結婚しろ」「良いお見合い話があるんだけど」「もう適齢期過ぎているんじゃない?」こんな心ない言葉に困ったことはありませんか? 男性中心の社会で女性が生きにくくなっている理由に、「社会における女性の性」への認識における「選択肢の狭さ」の問題があります。
「愛を貫き通す」は正しいのか?
卓越した能力や精神力を持った女性でない限り、上記のような言葉で様々な方面から社会への進出を阻害されてしまうことがあります。日本社会では力ある・頼れる男性と結婚することが安全策とされ、望ましい選択肢としての認識が強いのです。社会、家族、ときには同じ女性からさえ、あたかも唯一の選択肢のように「力ある・頼れる男性との結婚」が押しつけられてしまっているのです。
確かに一人の男性に対して愛を貫き通す姿は美しいかも知れません。
しかし、頼るということが落とし穴になることも往々にしてあります。その「一人の男性」を誤ってしまった場合、逃げることもできず生きる選択肢を失うことにもなりかねません。
ギャンブル癖やアルコール中毒、ドメスティックバイオレンスetc……、男性に依存してしまった場合に女性を襲う危機は数限りありません。また、ちょっとした考え方の違いであっても、不幸になる要因となり得ます。
日本の女性は周囲に訴えることなく忍耐強く耐えようとする、一見美徳に思える部分を持っています。しかし、それがもし本来自分が持っている可能性を狭めることになったとしたら……。
メディアの誘導する「性の解放」
また、市場社会が支配するメディアは一方で女性の社会における存在の幸せは過剰なまでに性の露出と解放を唱えていますが、それは本当の意味での女性の性の解放とは真逆の方向に向かっているものです。男性社会が呼びかける性の自由は、「男性にとって都合の良い性の自由」に過ぎません。
社会が美徳としている女性の「選択肢の狭さ」と男性が支配するメディアの呼びかける「性の自由」。一見、相反するように見えるふたつの要因は、実はお互いに手を組んで女性を自ら性の殻に閉じ込めようとしていると言えるでしょう。
核家族化が進み、男性も女性も互いに好きな生き方を選択できるようになった現代、
・自分のパートナーを自らの意志によって選択する
・互いの可能性を閉ざすことなく対話する
・自分の性を解放しながらも理解を誤らない
ことができるようになってきています。
しかし、本当の意味で女性が「性」の自由を獲得し武器とするためには、自らを貫く意志と判断力を身につける必要があるのです。
自由と家庭を両立させるために
女性が積極的に社会へ進出すると、家庭が崩壊するという偏見がいまだに根強くささやかれています。たしかに北欧などの先進諸国と比較して、福祉も社会保障として充実していない日本では、家庭は大きな鎖となって女性を縛ってしまうケースが往々にしてあります。
共働きによる家庭でのコミュニケーション不足や、家庭内離婚、家族崩壊……。今、盛んにこうした問題が叫ばれていますが、それはすべて女性の責任なのでしょうか? 互いが忙しくても、短い時間を大切にしてコミュニケーションを取り合い、立派に仕事と家庭を両立している家庭はいくらでもあります。
共働きの家庭で求められるのは、男性の男性としての自覚と責任、父親としての自覚と責任。そして家庭への積極的な参加となります。いまだに古い考え方から脱却できない男性社会である日本では、家事炊事は女性の役割だと思い込んでいる人も少なくありません。周囲に親族がいて、互いに助け合うことのできるような「依存と甘えの構造」が成立していた時代であったならば、そのような考え方も成立できたかもしれません。しかし、グローバリゼーションや核家族化が進む現代社会では、その図式では家庭が成り立たなくなっています。
女性が社会へ進出するために
「家庭へ金を入れるだけで責任を果たしている」という男性の時代は終わりました。家庭への責任は女性だけの負担となるべきではありません。女性が本当の意味で自立して社会に参加し、日本を活性化させるためには、男性も積極的に家庭内のコミュニティーに参加することが求められているのです。
女性が安心して社会へ進出できる、先進諸国のようなバランスの良い洗練された社会となるためには、男性の家庭への進出が必要とされているのです。
健全でバランスの良い社会で女性が「活きる」ために
とはいえ、人間は一夜で生き方を変えることはできません。女性が自分の「性」を武器とするためには、発想を切り替え、新しい考え方を身につけることが必要です。